Mk6 リブリーザーでダイビングする 第1回 基本的なしくみ

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このページではリブリーザーの取り扱いや関連する事柄の特徴的な部分のみを説明しています。

特徴的な部分をわかりやすく説明するために命に関わる重要な要素の説明が除かれている部分があります。また、このページは計算や解釈の間違いや誤植があることを前提にお読みください。

 

実際にダイビングを行う場合はあなたが受けたトレーニングの範囲を超えてはいけません。

正しい潜水計画の立て方や必要な技術と装備に関する正確で詳細な情報は、ダイビング指導団体が発行するダイビングマニュアルに記載されています。ダイビングマニュアルに従わず、このページの説明を基礎に実際のダイビングを計画実施することは命に関わる重大な危険を招きます。

Poseidon社のMk6は Closed Circuit Rebreathers に分類される水中呼吸装置です。日本語では閉鎖型循環式呼吸装置です。省略してCCRとも呼ばれています。この記事では閉鎖型循環式呼吸装置に分類される Poseidon Mk6 でのダイビングをご紹介していきます。

 

※ この記事はCCRのひとつであるMk6をご紹介するもので、CCR全般を解説するものではありません。

二酸化炭素を取り除き酸素を追加するしくみ

Mk6はリブリーザーを使ったダイビングで問題となる色々なトラブルを未然に防げるように設計されていますので、実際には複雑な装置です。しかし、ここではMk6の基本である「呼吸ガスから二酸化炭素を取り除き、酸素を補充する」という機能に的を絞ってご紹介します。

この図にあるピンク色の矢印はダイバーが吐いた息、呼気の流れを表しています。青色の矢印は作り直されたガス、吸気用ガスの流れを表しています。

 

図の中央にあるマウスピースを出た呼気は上から見て時計回り、すなわち、ダイバーの右手側のホースに流れ込んだあと、ダイバーの背中側に移動していきます。ホースの途中にはカウンターラングと呼ばれる長方形の袋が取り付けられています。カウンターラングはダイバーが吐いた息を一時的に蓄えるための袋です。この袋はダイバーの口元から入った海水などの水分を呼吸ループから分離する役割も持っています。

 

ダイバーの左側からは背中のユニットで生成された吸気用ガスが流れ込んでいます。ここにもカウンターラングが設置されています。カウンターラングは生成されたガスを一時的に蓄えるためにあります。また、何らかのトラブルで背中のユニットが水没した時に発生する水溶液を、ダイバーが飲み込まないようにする水溶液分離の役割も持っています。

背中側は大きく3つの部分から構成されています。図の右側にあるのが酸素を充填したシリンダーです。左側は希釈ガスを充填したシリンダーです。水深40mまでであれば希釈ガスには空気を使用しています。

 

中央にある黒い筒は電子モジュールとキャニスターハウジングです。筒の多くの部分はキャニスターハウジングで占められています。キャニスターハウジングにはスクラバーと呼ばれる化学物質が入っていて、その役割は呼気中の二酸化炭素を取り除くことです。スクラバーは水酸化カルシウムを主原料とした粒状の個体で、二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムに変化します。呼気はスクラバーを通過することで二酸化炭素が取り除かれます。

 

電子モジュールはMk6の頭脳と言えます。主な役割は呼気中の酸素濃度を測定してダイバーに最適な酸素濃度を維持することです。酸素はダイバーの右肩にある酸素シリンダーから供給されます。シリンダーから出た酸素は電子モジュールに入り、コンピューター制御の自動開閉バルブ(ソレノイド)で呼気に注入されます。

閉ざされた呼吸回路の面白さ

高いガス効率

Mk6の呼吸回路は口を介して肺とつながっており、全体で見ると一つの閉ざされた回路だということができます。基本的に消費されるのは体が使ったわずかな酸素だけで、その他のガスは肺と呼吸回路の間を行ったり来たりするだけということになります。呼吸ごとに排気を繰り返す開放式のスクーバと比べるとはるかにガス効率の高いしくみです。

 

私は以前、伊豆半島の大瀬崎という海岸で3時間半の連続したダイビングをしたことがあります。この時はほとんどの時間を水深15mから18mの間で過ごしましたが、最終的にMk6のシリンダーには25%ほどのガスが残っていました。このダイビングを開放式のスクーバで行ったとすると10リットルのシリンダーが4本以上必要となる計算です。Mk6が小さな3リットルのシリンダー2本で済んでしまうことを考えると、ガス効率の違いがよくわかります。減圧停止などは考慮していない単純計算なので現実的ではありませんけれど。

不思議な浮力の感覚

おそらく一般のダイバーがリブリーザーを使った時に一番戸惑うのが浮力調整でしょう。

慣れたダイバーなら無意識のうちに肺でトリミングをしているものです。少し浮力が強い場合は、少し息を捨てて浮力を減らす。少し浮力が弱い場合は少し大きめに息を吸って沈むのを止めるなどをしていると思います。これは呼吸による肺の浮力の変化を利用したものですが、リブリーザーではこのようにはいきません。

 

リブリーザーの呼吸回路は閉じていますから、息を吐いて肺の浮力を減少させると、その分だけカウンターラングは膨らんで浮力が増加してしまいます。逆に息を吸ってカウンターラングの浮力を減少させても、その分だけ肺の浮力が増加してしまいます。これは大変厄介なことで、リブリーザーコースで最も慣れるのに時間がかかる部分です。肺という浮力調整器が使えないので、リブリーザーでは中性浮力を取ることが難しいと言えるでしょう。