SACで自分のダイビング力を知る

SACはダイバーの燃費

車には燃費という考え方があります。

1リットルで何キロ走ることができるかというのが燃費です。燃費がわかれば満タンのタンクで何キロ走ることができるかわかりますし、100km続く砂漠を渡るのに何リットルのガソリンを用意すれば良いかもわかります。

 

ダイバーにも燃費があります。

ダイバーの燃費はSAC1やSCR2と呼ばれるもので、RMV 3と表現するダイバーもいます。SACは水面での空気消費率のことで、この数値は潜水計画で重要な役割を果たしています。


  1. Surface Air Consumption, 水面空気消費率 ↩︎
  2. Surface Consumption Rate, 水面消費率 ↩︎
  3. Respiratory minute volume, 分時呼吸量 ↩︎

My SACを知る

SACは潜水計画に使うための数値なのですが、運動強度や緊張度によっても大きく変化します。そのため、

 

「今日のダイビングは流れがあってちょっとキツかったね。だって計算したらやっぱりSACは18L/分もあったよ」

「やっぱり久しぶりのダイビングだとSACが高くなるなぁ」

「最近SACが下がってる。中性浮力練習してきたからかなぁ」

 

というような会話が生まれてきます。

SACの計算は簡単なのでぜひ毎回のダイビングでログに記入してみてください。

 

計算に必要なデータ

  • 使用空気圧 開始時の空気圧から終了時の残圧を引いておく
  • シリンダ容量 シリンダにある刻印で確認(V 10.3 など)
  • 平均水圧 ダイブコンピュータのログ機能で平均水深を調べ、 10 で割って 1 を足す
  • 潜水時間 ダイブコンピュータのログ機能で確認しておく

計算式

  • SAC = 使用空気圧 × シリンダ容量 ÷ 平均水圧 ÷ 潜水時間
  • 単位 L/ata/min.

SACの目安

私たちのダイビングスクールでは1992年のコース開始以来、オープン・ウォーター・ダイバーコースからSACの計算方法を教えています。そして、毎回のダイビングでSACをログ付してもらってきました。

 

そのため、多くのダイバーの色々なシチュエーションでのSACを知ることができました。私たちはダイバーたちのデータを集めて解析する科学的な作業は行っていませんが、自分たちの記録やダイバー達との情報交換から経験的にいくつかの指標を持っています。大雑把なものですが自分のデータと比べてみてください。

呼吸が乱れない運動量でのSAC

  • 男性 12-14L/ata/min. 程度
  • 女性 10-12L/ata/min. 程度

ときどき止まって水中撮影をしたり、移動する時もゆっくり移動し、ほとんど呼吸が乱れることがないようなダイビングパターンでのSACはだいたいこの程度です。私たちはこのようなパターンでのSACを基本データとして持っており、潜水計画を立てるときには次のダイビングでの潜水強度を想像してSACを調整します。たとえばSACを1.5倍に見積もって計画したり。

中性浮力が苦手なダイバーのSAC

  • 男性 18-25 L/ata/min. 程度
  • 女性 15-18 L/ata/min. 程度

中性浮力が苦手なダイバーのSACはこのぐらいだと思います。中性浮力が安定しているダイバーに比べてキック数が多くなることが関係しているのでしょう。苦手の程度によってSACは大きく異なります。

ディープダイビングの目安

私たちはときどきお客様から「僕はディープダイビングに参加できるだろうか?」という質問を受けます。この問いに対しては「SACが毎回15Lを下回ったら参加できる」というのが答えです。

SACはダイバーのストレス尺度

一人のダイバーのSACを追跡すると、ダイビングの熟練度とSACが大きく関係していることが分かります。別の言い方をすれば肉体的/心理的ストレスが低いほどSACは下がるということです。

SACを左右する要因は次の二つだと考えています。

 

  • 浮力調整の練度
  • ダイビングに対する緊張度

SACを習慣づけよう

今まで説明してきたようにSACには浮力調整を中心としたダイビングスキルの安定度と、経験によって左右される緊張感が大きく反映されています。ですから、毎回のダイビングのSACを記録することで、自分自身の「上達」を数値で知ることができます。特に初心者の頃のSACは大きく変化します。自分の変化を知ることは楽しいことです。

 

また、事前にあなたのSACをダイブマスターに伝えてあれば、ダイブマスターはあなたに合ったダイビングを計画したり、あなたと同じぐらいのSACのダイバーとチームを組んでくれるかもしれません。(これが本来のSACの使い道なのですけどね)

 

SACはあなた自身にとっても、あなたが参加するチームのメンバーにとっても役立つ情報です。簡単な計算なので、ログ付けの項目に取り入れてみてください。

伊良部島マリンセンターの宮古島ファンダイビングではSAC向上に役立つアドバイスも行っています。参加してみてください。