ポセイドンMk6を構成するパーツ

呼吸ループ

呼吸ループは呼吸ガスが循環するための通り道です。Mk6の呼吸ループは伸縮するCC/OC切替式マウスピース、排水マニフォールド(Tポートとも言われます)、蛇腹式の呼吸ホース、左右のカウンターラングで構成されています。

 

呼吸ループは呼吸に対応して容積を変化させる柔軟なシステムです。ループの目的は呼気ガスを体の外部にいったん貯めて、背中にあるガス処理ユニットに送りこむことです。マウスピースのワンウェイバルブが、呼気ガスをマウスピースから右側呼吸ホースに送り出し、呼気ガスはさらにTポートを通過して右カウンターラングに入っていきます。

オープンサーキット/クローズドサーキット・マウスピース A

Mk6の躍進的なテクノロジーの中でも画期的な技術の1つに切り替え式マウスピースがあります。このマウスピースには高性能の軽量オープンサーキットレギュレーターが組み込まれていて、ワンタッチでオープンサーキットでの呼吸とクローズドサーキットでの呼吸を切り替えることができます。レバーを垂直位置に立てるとクローズドサーキットに、レバーを水平に倒すとオープンサーキットに切り替わります。また、このマウスピースにはHUDと連動するセンサーが組まれており、ダイビング中にプライマリーディスプレイでレバーの位置を確認することができます。

 

自動希釈ガス補充バルブ(ADV)

 

マウスピースには自動希釈ガス補充バルブ(ADV=Automatic Diluent Addition Valve)システムが組み込まれていて、潜降中の深度変化によって圧縮されたカウンターラングの容量不足を補います。ダイビング中にダイバーが呼吸ガスの容量不足を感じた場合、少し強く呼吸するだけでADVが作動して必要な分だけ希釈ガスを注入することができます。希釈ガスをマニュアル操作で追加する必要はありません。この機構はマウスピースに組み込まれています。

呼吸ホース B

呼吸ホースは伸縮自在な蛇腹ホースです。ホースを保護する生地に包まれています。

排水マニホールド(Tポート) C

普通の使用状況でも両側の呼吸ホースに水分が溜まることがありますが、ほとんどの水は右側(呼気)呼吸ホースに溜まります。Tポートは水分と呼気を分離するためのパーツです。このパーツによってループ内に入り込んだ水分は背中側に回らず、右カウンターラング内に貯められます。Tポートを通り抜けた呼吸ガスはループを通ってCO2吸収カートリッジに流れて行きます。

カウンターラング D

左右のカウンターラングはレクリエーショナル用で6.2L、テクニカル用で8.2Lの容量があります。肩から胸にかけてのカウンターラングの配置は デュアル・オーバー・ザ・ショルダーと呼ばれ、ダイビング中の姿勢変化による影響を受けにくく快適な呼吸を得ることができます。オープンサーキットダイバーには呼吸抵抗がないように感じられるかもしれません。カウンターラングの底部にテンション調整式の排水バルブがあり、Tポートから流れ込んだ水分をダイビング中に排水できます。

二酸化炭素吸収カートリッジ E

リブリーザーの最大の要件は、代謝によって生じた二酸化炭素(CO2)を呼吸ループから除去し、代謝によって消費された酸素を補充することです。Mk6はワンタッチ式のCO2吸収カートリッジを採用しています。カートリッジは上下が網状になった円筒形をしており、中にはソフノライムと呼ばれる粒体が詰め込まれています。ソフノライムはCO2と化学的に結合して炭酸カルシウムに変化します。呼気内のCO2はこの化学変化で取り除かれます。

 

このカートリッジは SofnoDive®797 と呼ばれる英国モレキュラー社の製品で、水深40m/水温4℃/毎分呼吸量40Lで呼吸するダイバーのCO2を少なくとも3時間吸収する能力を持っています。

酸素シリンダー F

酸素シリンダーには呼吸ガス内の酸素分圧PO2を維持するための酸素が入っています。純酸素または92%以上のナイトロックスが使用できますが、通常は純酸素を充填してあります。充填する酸素量は390Lと決められています。酸素の残量でスクラバー(二酸化炭素除去剤)の残存能力を知ることができるため、この酸素量を超えて充填することはできません。

希釈ガスシリンダー G

希釈ガスは呼吸ガスのボリュームを維持させるために使用されます。呼吸ループ内のガス量は一呼吸分だけに調整しておくこと(ダイバーが息を吸ったらカウンターラングがちょうど潰れる状態)が理想的なのですが、水深が増せば水圧の影響でカウンタラング内のガスは圧縮されてしまいます。圧縮されると一息分には足らなくなってしまいます。この時はADVが作動して不足したガスを補ってくれますが、この補うためのガスはこのシリンダーから送られてきます。呼吸ループ内のガスがダイバー一呼吸分に調整された後は希釈ガスがループ内に噴射されることはありませんので、希釈ガスの消費は非常に小さいものです。

 

希釈ガスには空気/ナイトロックス/トライミックスを使用することができます。

電子モジュール H

リブリーザーの頭脳である電子モジュールは、酸素センサー/温度センサー/環境圧センサー/シリンダー圧センサー/ソレノイドバルブ/メインコンピューター/プライマリーディスプレイ/HUD/データ処理能力をもつスマートバッテリーで構成されています。

 

Mk6のようなクローズドサーキット・リブリーザーでは、ダイバーが代謝で消費した酸素を補充するシステムが必要です。酸素が補充されないと呼吸ガスの酸素が徐々に危険なレベルにまで下がっていきます(ハイポキシア)。Mk6はハイポキシアを起こすレベルより酸素分圧(PO2)を十分高く維持するように、また酸素分圧が高くなりすぎないように設計されています(ハイパーオキシア)。酸素分圧は各種センサーの値から算出され、PO2設定値(セットポイント)を下回った場合はシステムがソレノイドバルブを作動させ、純酸素を補充するようになっています。Mk6の電子モジュールは代謝で消費された呼吸ガスの酸素を補充する機能だけでなく、ダイビング前の酸素分圧の検知機能の補正と確認を行ったり、ダイビング中に酸素センサーの精度確認を自動で繰り返したりする機能も持っています。また、ダイバーの減圧症を予防するための減圧計算も行なっています。

 

各種希釈ガスへの対応

搭載するスマートバッテリーの種類により異なりますが、電子モジュールは空気/ナイトロックス/トライミックスという各種希釈ガスに対応しています。使用するガスはパソコンとの通信により設定を行います。

 

高気圧作業安全衛生規則への適合

減圧計算はDCAPというスエーデン海軍ダイバー向けに開発された計算モデルを搭載していますが、現行モデルのSE7ENで利用できるダイブコンピューター "M28" ではDCAPとZH-L16Cのどちらかを選択できるようになっていますので、M28を使用すれば改定された高気圧作業安全衛生規則に適合さえることができます。

 

警告装置

リブリーザーシステムに異常がある場合や異常があるかもしれない場合にはMk6はダイバーに警告を発します。ダイバー自身はプライマリーディスプレイの表示、警告音、HUDの点滅、HUDのバイブレーションで警告を知ることができます。また、他のダイバーは警告音とスマートバッテリーに組み込まれたLED点滅でパートナーのシステムに異常が起きていることを知ることができます。

スマートバッテリー I

スマートバッテリーはワンタッチ挿入式の電源で、フル充電すると最長30時間、リブリーザーを作動させます。バッテリー自身がコンピューター機能を内蔵し、ダイビングのログ記録だけでなく、ダイバーの減圧状況(組織のガス圧力)、反復ダイビングの記録を保存します。スマートバッテリーのコンピューターシステムはリブリーザーの他のコンピュータシステムとネットワークで繋がっています。

 

スマートバッテリーは各種演算を行うだけではなく警告装置にもなっています。警告装置として上からと後ろから簡単に確認できる赤色のLEDライトと、水中でもよく聴こえる音響スピーカーが組み込まれています。どちらもリブリーザーの状況をバディに伝えるための機能です。

ヘッドアップディスプレイ(HUD) J

マウスピースにははめ込み式のヘッドアップディスプレー(HUDHead Up Display)が組み込まれています。HUDにはコンピュータプロセッサーが内蔵されており、他のシステムとネットワークが組まれています。HUDにはトラブルが予測される時にダイバーに警告するLEDとバイブレーション警告システムが組み込まれています。また、HUDにはマウスピースがどのポジション(オープンサーキットかクローズドサーキット)にあるかを検知するセンサーも内蔵されています。

プライマリーディスプレイ K

Mk6には水中で一目で文字の読める、特注の明るい大型液晶ディスプレイが組み込まれています。安全な活動に必要な情報だけを提供するリクリエーションダイバー専用の設計になっています。周囲の外光が不足するときに画面を明るく見せる高効率自動バックライトを備えます。赤外線データポートも備わっていて、潜水記録のダウンロード、パラメーター(判断基準データ)の設定、ソフトウェアのアップグレードのためのパソコンとの接続ができます。ディスプレイの背面の2つのウェットスイッチでMk6の電子システムが起動します。

 

パソコンとの接続方法はMk6の場合は赤外線通信、SE7ENの場合はBluetooth通信になっています。